記憶博物館
全身山ビルのターゲットなんやって
(1980年代,北陸地方,男性,はなの思い出)
小学生の頃は、お筝のお稽古の帰りに親戚の家に寄って、いとこと一緒に銭湯に行くこともあった。 番台の上のテレビでNHK大河ドラマの「独眼竜政宗」を見たな。今、思えば、渡辺謙演じる伊達政宗にほれとったなあ(小学生のくせに・・・笑)。かなりの人気番組だったらしく、その時間帯には銭湯のお客が少なかったような。 大学生になって東京で一人暮らしをはじめてからは、ワンルームマンションで狭いユニットバス。慣れない初めのうちは、背中を洗うとき壁にごんごん肘をぶつけて大変やった。今はすっかりなれて、器用に体勢を変えながら肘をぶつけんと洗えるようになってしまった。 うちの大学は千葉房総に学生が研究をおこなうためのフィールドとして山(森)を持っとる。そこのとある宿舎はかなり古い木造の建物で、お風呂場には水を入れて沸かすタイプの浴槽と水しか出ない蛇口がひとつ。身体を洗うときは浴槽のお湯を汲んで使う。 まかないのおばちゃんは、いつもすれすれいっぱいのお水をいれて、熱くてとても使えないくらいの温度に焚いといてくれる。 千葉とはいえ、標高が高いので冬には気温がマイナスになることも。そんな冬の一番風呂にあたると、裸で寒いわ、お湯は熱すぎて触れないわで、あせるあせる。寒さをこらえつつ、もったいないけど桶でお湯をある程度汲み捨てて水をうめる羽目に。 房総の山は知る人ぞしる、山ビルの宝庫。昼間山で気づかないうちに血を吸われた跡を発見して、「やられた!」とがっくりすることもしばしば。洗い場の簾の子の隅っこに山ビルを発見してしまい、常にその居場所を気にしつつすごーく緊張しながら入浴したことも(こっちは裸やからね、全身山ビルのターゲットなんやって)。 でも、半年ほど前、ついにそのお風呂にも温水シャワーがつけられて、バスタイムはかなり快適なものに。
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